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「……彼女が傍に居なけりゃ力が出せないなら、いっそのこと連れて行くって選択肢もあるんじゃないのか?
まあ、それを親父が許すかはわからねえけどな。」
俺のその言葉に聖時は本当に驚いた表情を見せた。
そんなこと考えてもいなかったみたいだ。
聖時はシートに身体を預けて天を仰いだ。
「……連れて行く……か……」
聖時がぼそりと呟いた。
「青天の霹靂みたいな顔しやがって。」
聖時の言動に小さく笑う。
もし本当に彼女を連れて行くとして……
親父が「はいどうぞ」と許すとは思えない。
隣の県に1年行くのとはわけが違う。
彼女のご両親もいるわけだし。
「俺はお前が真剣に考えて決めた道なら反対しない。
その代わり、男として筋を通せ。
二人にとってどうすることがお互いの為になるのか、しっかり話してこい。」
聖時の横顔に言葉を投げた。
兄としての言葉だ。
聖時はレクサスの低い天井から俺に視線を向けた。
「そうだな。
莉奈と話すよ。」
聖時の返事に満足して頬を緩めて頷いた。
煌めく太陽の光が……
弟の行く道を明るく照らし続けるように
俺はいつでもお前たちの味方でいる。
だから
信じて前に進め。
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