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保健福祉省への自爆攻撃による死者は十八人、負傷者は四十三人。
重症者も多く、死者はこの後も増える可能性が大いにあったが、公式発表としては、一応、このような形となった。
「ヴェストヴェーグの惨事」の犠牲者数を大きく上回る、この国で起きたものとしては最も大きな被害となった爆破事件。
その全容は、本当にやりきれないものだった。
爆破に使われたのは、「簡易爆弾」とすら呼べないものだった。
「爆弾」の呼び名を得るに値する「洗練」など、微塵もない。
コンテナ一杯に揮発性の燃料を積めるだけ積み込んで、建物の中央部分のどこかに衝突する。
ただそれだけの、稚拙極まりない代物。
犯行後、あらゆる団体が、「これは自分たちの思想に共鳴した一匹狼による自爆テロだ」と矢継ぎ早に名乗りを上げたが、自爆した犯人自身による「犯行声明」らしきものは、ついに見つかりはしなかった。
そして、犯人がソーシャルメディアにまき散らした愚痴の断片すら攫い出すようにして犯行の背景が捜査された結果、分ったことは――
件の爆破が「テロ」ですらなかったということだった。
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