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あ、いたいた。
おーい。こっちこっち~。
良かった。
もう帰っちゃったかと思ったよ。
ん?何でここにいるのかって?
君、今日傘持っていくの忘れたでしょ。
帰ってきたら玄関に引っ掛かったままなんだもん。
すぐ気付いたよ。
こんな雨でもね、風邪引くことだってあるんだよ。
体調管理は日々の積み重ねだよ。
ん?
なのに傘自分のしか持ってない?
鈍感だなぁ。
相合い傘しようと思って来たんだよ。
はははは。
そんなに照れないでよ。
たまにはこういうのもいいでしょ。
ほら、入って。
うん。いい子いい子。
なんか…
色々思い出すね。
最初のデートの時も雨でさ、傘がぶつかり合って、お互い気まずくて。
その内君が
「もう相合い傘にしませんか!?」
なんてそりゃ真っ赤な顔で言うから、僕思わず笑っちゃってさ。
真っ赤な顔した君が、あまりにも一生懸命で、真っすぐで、可愛かったから。
それから雨の日のデートは、いつもより嬉しかった。
また、あんな君を見れるかと思うと、嬉しかった。
でも、お互い歳を重ねて、いつしかこんなこともしなくなって。
ちょっと寂しかったりもしたんだ。
だけど今日は、君が傘忘れてくれたおかげで口実ができた。
相合い傘する口実が、ね。
僕ね、いますごく嬉しいよ。
初めての君と相合い傘した時と同じくらい嬉しい。
ね。
これからは、雨の日の帰りは相合い傘しようよ。
だめ?
ふふ。
じゃあ約束だよ。
もし破ったら…
そうだなぁ。お姫様抱っこしながら家まで帰るってことで。
あははははは。
痛い、痛いって。
大丈夫だよ、冗談。
でも、相合い傘は絶対だよ?
よーし。
決まり決まり。
あ、大切なこと言い忘れてた。
おかえり。
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