バレンシア

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 ゾンビ化を阻止する勾玉があるらしい。  俺はあの悪魔に騙されて地獄に堕ちた。  それでも俺の罪はまだ軽いので衣食住は確保されている。  西崎を殺した田丸なんかは住むところもなく、怪物が現れるとされる公園で寝泊まりしている。  中東部に位置するバレンシアは地中海に臨むスペインの大都市だ。人口は74万人、オレンジや米の生産地でパエリアの本場だ。  洋館の武器庫で《バデレール》を見つけた。  16世紀に西ヨーロッパで海兵が使用した刀だ。  湾曲した片刃、幅が広く切っ先が鋭く、Sを横にしたような鍔が特徴的だ。 「バナナに足を取られるなんて思いもしなかったぜ」田丸たちと銀行強盗に入ったが床に落ちていたバナナの皮に足を滑らせ確保された。  銀行側は警察に通報することなく、俺を囮として使った。銀行はあの怪人21面相に力を貸していたのだ。警察の手入れが入るのを怖れたのだろう。  頭取のスペンサーによって支配された俺は味方のアジトを教えた。    西崎って殺し屋とともにマドリードにあるアジトを襲撃した。  ノミの心臓の俺はブルブル震えるしかなかった。  西崎は笑いながらマシンガンをぶっぱなしていた。任務は成功した…………はずだった。  運よくトイレに入っていて難を逃れた田丸がドアの隙間から西崎を射殺した。  背中を2発撃たれた西崎は「楽しかっただろ?」って笑いながら死んだ。  裏切り者の烙印を押された俺は田丸から死ぬよりツライ拷問を受けた。  ガロッドってゆー首を固定する椅子に座らされ、ジワジワと首を絞められた。  最後は首のホネが折れ、窒息して死んだ。  ゴキリゴキリってあの不気味な音を思い出すと鳥肌が立つ。  この地獄から抜け出す方法はただ1つ!  勾玉を見つけ出すだけだ。 「昨日はカラオケでやったよ」  大広間に戻るなりサンドラが聞いていた。 「何をだよ?」 「言わせるなよ」  サンドラには3つ下の恋人がいる。  サンドラは幽霊だ。  何で死んだのかは分からない。  そんなこと不謹慎だから聞けない。 「幽霊ってのも子供が出来るの?」  「出来るよ、幽霊同士だったらね」 「人間とだったら?」 「出来るわけないだろ?そんな話、生きているときに聞いたことあるのか?」 「ない」  
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