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小学校は無駄に長いな、と思っていたが中学校はあっという間だった。おそらく、「子ども扱いしくさって、僕が小学生じゃなければ」と思う気持ちが、六年間を長く感じさせたのだろう。しかし、その先に待っている三年間というものはどうやら短いらしい、と気づいたのは中学校二年の夏頃だった。そもそも三年間というものの折り返し地点が中二の夏なんて油断しきっている時期にあることが、誰かがしかけた罠だとしか考えられない。中二の夏、僕はベッドでごろごろしながら、クーラーの利いた部屋でぼーっと風鈴を眺めて過ごしていた。
中学生であれば、色々と人生の巻き返しポイントはあったはずだ。
例えば、スポーツに打ち込めばゆくゆくプロになっても不思議ではない。しかし僕は、中学生活ではクラブ活動をせずに過ごし、かといって恋をしてもがき苦しんで人として成長することもなく、玉ねぎの皮を全て剥いたら妖精が現れると聞き、涙を流しながら挑戦したり、利きうまい棒選手権を身内で開催したり、台風の日に現れたUFOの噂を聞いて探したりと、他愛もない時間を過ごして終えてしまった。振り返るとそこには何もない。驚くほど何もない。
故に、僕は考えた。同じ過ちを繰り返してはいけない。人間は学習する生き物だ。ゲージの中の猿だって、バナナを取る方法を学習する。
高校では活力を持って何事にも精力的に取り組み、青春を謳歌するのだ! と胸に誓う。
高校生活三年間という、青春を棒に振ってはならない。バットを振らなければ、ボールには当たらない。バッターボックスに立たなければ、ホームランは打てない。部活動をしなければ、青春を謳歌できない。
「なんだよ、森山は野球部に入るのかよお?」
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