プロローグ 無色スタート

1/1
前へ
/209ページ
次へ

プロローグ 無色スタート

「全ての元凶は先輩にあり」 「なんだよ、私のせいかよ」  僕は高校に入学して間もないが、先輩とこういうやり取りを、何度しただろうか。くしゃくしゃ頭で少し目つきの悪い女子、それが先輩だ。  まぁ、正確には今の会話は、 「ふへへほへんほほはへんはひひはい」 「はんはほ、ははひほへひはほ」  みたいな感じなわけだが、先輩が何を言ってるのかなんて、ちゃんと聞こえなくてもだいたいわかるようになった。僕は人生で初めて猿ぐつわをされている。先輩が眉を曲げてじろりと僕を見てくる。文句を言いたげだが、先輩の口にも猿ぐつわがされているので、文句は口の中で留まっているようだ。  僕たちが何をしているのか? と問われれば部活動の最中だと言える。だが、演劇部ではないし、放送部や映画研究部なんかの撮影の一環でもない。  僕たちが何部なのか、まずはそこから始めようと思う。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

200人が本棚に入れています
本棚に追加