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後輩珠ちゃん 菊間宗介
「あいつ面白ろ過ぎ」
動揺する姿、たまんねえ。
顔がにやける。
店の買出し中もニヤけて仕方なかった。魚屋のおやじにエロい顔してるって、散々つつかれちまった。
「菊ちゃん!」
「あれ、珠ちゃん?」
店の前には常連で有り、
高校時2つ年下の後輩、長谷川 珠が居た。
あんま俺とは絡み無かったけど、つるんでた仲間ウチの1人だった珠ちゃんは、卒業してから10年後、ここKIKUYAのオープンで再会した時に、お互い直ぐに思い出せた。
「どした~休み?」
「うん」
「オープンまでまだ時間あるけど……中、入って待つ?」
「うん、いーい?」
「もちろん。特別お構いできませんが、どーぞー」
「ふふ」
「あ、ちょっと待ってね」
昨晩床の掃除して、イスはカウンターの上に逆さになったままだ。1つづつ降ろしてカウンターを拭くとそこへ案内した。
窓を全開にして空気を入れる。
「ビール位なら直ぐに出るけど?」
「うん。貰おうかな」
樽に栓をはめ込む。ガス圧を調整したら昨晩洗浄したままの口開けなので少しバケツに流す。
冷えたジョッキにスーッと滑らせて生ビールの黄金比7:3で仕上げる。
「はいよ」
「ありがと」
「俺オープン準備するから適当にしてて」
「うん。ごめんね、早くに」
「昨晩掃除と出来る仕込みは終わらせたから、すぐ手、空くと思う」
「うん。でも、本当気にしないで」
昨夜も飲み来て今日は休み。
オープン前に来るって事は、何かあんな。
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