0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
現実を知ったその日から私は我武者羅に頑張った。
泣きそうになったら誰も来ない倉庫で泣いた。
それでも一度壊れた信頼は戻っては来なかった。
初めは確かに感じていたはずなのに
初めから無かったかのように冷たいものだった。
私は仕事を辞めていた。
頑張っても報われないのはきっと、まだまだ頑張りが足りなかったから。
頑張りとは私が自分で決めるものではない。
周りが「頑張ったね」と言ったら初めて頑張った事になるのだと知った。
暫く知り合いに紹介してもらったリラクゼーションの仕事をした。
接客は絶対に向いていないと思っていたが意外とはまっていると沈んでいる心に励ましをもらった気がした。
この仕事を極めるのも良いのかもしれない。
そう思うと必ず思い出す言葉があった。
「前は違ったのに、貴女変わっちゃったのね」
一番心を許していた元上司の怒っても悲しんでもいない
もしかしたら両方混ざったからだったのかもしれない
あの見慣れた優しい顔が不思議に歪むそんな表情が頭の中を埋め尽くした。
もう一度戻りたい。
でも今のままでは戻れない。
「頑張ったね」
あの人にそう言ってもらいたい。
それでも県内で厨房に再就職は怖くて出来なかった。
誰がどこにいる、すぐに伝わることを知っていた。
私は県外で再就職をした。
最初のコメントを投稿しよう!