上の女

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 これは、私が学生時代に体験した話であ その頃、私はある山奥のアパートに住んでいた。 築年数は30ぐらいだろうか? きれいとはお世辞にも言えないが、年月を感じさせる木造づくりで気にっていた。  しかし、気になった点が一つあった。 ワンルームの部屋の中に押入れがあるのだが、押入れの天井には天井裏へとつながる穴が空いている。 もちろん蓋はしてあるのだが、天井裏の空間がそれなりにあるため、ネズミ等が繁殖しないか心配だった。  さらに、ここに住んで3か月になるが、時々、異様に寝苦しいのだ。  そんなある日、夢を見た。 夢の中で自分がベットで寝ていると、例の天井裏の穴から女の顔が 出てきた。   女はパーマが少し入った艶のない黒髪で、顔は異様なほど青白かった。 女は顔だけを逆さまに穴から出し、じーっとこっちを見ている。 無表情なので何を考えているかはわからなかったが、ただただ恐ろしかった。  そして、唐突に目が覚めた。 肌着は汗ぐっしょりだ。 夢でよかったと思い、何気なく押入れを見ると、天井裏への蓋が横にずれていた。 偶然、ずれるなどありえない。 私は怖くなって、天井裏を覗く勇気もなく、1週間後、違うアパートに引っ越した。  あの女が、夢だったのか? それとも別の何かだったのか? 今となってはわからない。  しかし、私がそれ以来、アパートは1階を借りるようになったのは事実である。    
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