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「悠真が、やっぱりできないって言ってきたらどうするの?」 布団に入ったところで、枕元の夜魅が言う。 「俺には、方法を選ぶから一晩欲しいって聞こえたけど?」 「なんでそう思うのさ。」 柊平と悠真は、去年の初秋頃に出会ったばかりでさほど互いのことを知っているわけではない。 「だって、俺より専門家で先輩なんだろ?」 思わず拗ねた言い方をしてしまう。 年は、たぶん変わりない。 悠真が敬語なのは、仕事としての側面があるからだろうと柊平は思っている。 なんにせよ、柊平よりは色々よく知っていて、それを壮大朗も夜魅も買っている。 「なに拗ねてんの。」 「拗ねてない。」 むしろ、アテに出来る相手がいて良かったと思うべきだ。 詳細はどうあれ、悠真が持ち込んできた話に、悠真の方から出来ないとは言ってこないだろうと柊平は思う。 それに人当たりは柔らかいが、時折見せる冷めた表情は、お人好しとかそういう甘いタイプでもないだろう。 たぶん、出来ないなら出来ないと、ハッキリ言うのではないか。 ぼんやりとそんなことを考えながら、柊平はいつの間にか寝息をたてていた。 冷たい冬の風が窓を揺らす。 古い家は、その夜、ガタガタと幾度となくガラスを鳴らしていた。
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