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その日、象鬼は帰って来なかった。
張り切って出掛けた象鬼。
梨沙に不安はなく、勢いに乗って大勢手に掛けていると理解していた。
「ふふ、ゾウちゃん張り切り過ぎだよ。あんまり殺りすぎると、足がついちゃうぞ」
梨沙は居間で何も語らない咲と象鬼の帰宅を待ち侘びた。
その時、背後に感じる何者かの気配。
梨沙は笑顔で振り向いた。
「ゾウちゃんお帰り……え?」
そこに居たのは没鬼。
不意なる没鬼の来訪に梨沙は顔をしかめた。
「な、何? 何の用?」
没鬼は只ならぬ様相でその場に佇む。
またいつもと醸し出される気が違っており、どこまでも静かな怒りを帯びているように感じた。
「……象鬼は死んだ。何者かに銃殺されたのだ」
「え?」
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