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「何ごと?開けるよ?」と、トイレを覗いた母が座ったままの姿を見て、 「なに?出血したの??タクシーよぶ??いや、どうするか病院に電話がさきよね!」 と、電話機の前の壁掛けの掲示板に貼っておいた、緊急連絡先を見て病院に電話をかけてくれた。 子機の受話器をもってきて差し出した。 「自分で状況伝えなさい。」 とりあえず、トイレから出て、電話機を受け取ると、まだコール音で、すぐに代表に繋がった。 「産婦人科に繋いでください。」 と伝え、またすぐ産婦人科病棟の看護師に繋がった。 診察券番号と名前と週数を聞かれ、まずは名乗った。それから、 「…えっと、38週と4日で、今出血してて、あと9日で帝王切開って決まってるんですが、どうしたらいいでしょうか?」 「…はい、痛みはなくて、…はい。破水は、たぶん違うと思います。…わかりました。」 大丈夫、ここまでは、立ち会い出産の講習で見た、台本通りだ。 と、思ったけど、 あ、でもそれは普通分娩の人の場合で、私は予定帝王切開、このまま今日まさかの緊急手術?? と、電話を切って焦っていたら、母に 「病院なんだって?」 と聞かれた。 その手にはカバンも持って出掛ける準備もバッチリで。 「今からそのまま病棟に来てって、念のため入院準備も持ってきてって。」 と母に伝えると、タクシー呼ぶのはやめて母の車で病院に向かった。 「ヤッチャン、もう1日帰るの遅かったら良かったねー!!どうする?連絡しないと、このまま手術なの??」 「わからない、破水か陣痛始まっちゃったら緊急手術って言ってたけど、わざわざ呼んで、違ったら二度あし、まずいよね?陣痛始まっちゃってからでも3時間ちょっとで来れるし、見て貰ってからで遅くないかな?」 「そんなこといって、行ってすぐ手術だったらどうすんの?」 「そっか、メールしとく。」 母に言われてメールした。 血が出て、いま病院むかってる、どうなるかわからないから、また連絡します。 と。
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