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用意されていたベッドは6人部屋で母子同室、新生児がお世話を訴えている泣き声が、大部屋に入るとさっそく聞こえてきた。
二ヶ月前には切迫早産で入院していたから、その光景にも驚かないが、内心、個室じゃないことにがっかりした。
入院申込み用紙には、個室希望と書いておいたのは、周りの生活音に邪魔されずに、手術前夜くらいは、熟睡しておきたかったからだ。
「個室うまっててねー。昨日の帝王切開の子が明日には大部屋に移動できるので、個室空き次第、って言っても明日手術の後は個室に移動できるので、今夜はごめんなさいね。」
そう、看護師に言われた。
まぁ総合病院で産むのだから、そういうものだと、嫌な顔には出さずに、
「大丈夫です」と返事をした。
入院手続き後には、すぐに、安静にしていてと言われ、数時間後には点滴も始まった。
夜八時以降は、水も飲めなくなる。
自分だけ夕飯なしで、周りに夕飯が配膳されると空腹感で不安になった。
次はいつから食べれるのか日程表を確認すると、なんとあさっての昼まで食事なしと気づく。
丸二日食事抜きか…、仕方なく持参した水で胃を膨らめた。
家では今日最後のランチを済ませてきたが、もっと食べてくれば良かったと後悔する。
母が、何処から仕入れた情報なのか、
「キャベツを食べると血が止まりやすくなるってボクシングの選手は、試合前にはキャベツをたらふく食べるんだって。」
と、3日前から、やたらとキャベツの千切りサラダを出されて食べさせられた。
もちろん、最後のメニューにも、キャベツの味噌汁つきだった。
本当に血止めのためなのか、ボクシングの選手なら、ただの減量メニューなのではないかと疑うほど、先にキャベツを食べたせいでお腹が膨らむし消化に良すぎた。
普通分娩だったら、ぎりぎりまで好きなもの食べて、産んだあともすぐに豪華メニューなのに、私は丸二日食事抜きな上、産後最初の食事は、10分がゆなんて、と食べ物のことばかり考えていたら、麻酔科の先生が挨拶にいらした。
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