なにか聞こえる

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「ねぇ、ほんとに聞こえてなかったの?」 相手が話しかけてきた。 「・・・・・・あぁ・・・・・・って、何が?」 質問されるからとにかく返事をしてみるけど、ちょっとよく分からなかった。 「もー、やっぱり全然聞こえてなかったんだね」 俺が曖昧に答えるのに相手は・・・・・・ウサギは、怒っているようだった。 「あの、お前さ」 そう話し始めると、ウサギは不満そうにした・・・・・・ように見えた。 「ちょっと!失礼だな~、僕にも名前はあるんだけど」 「あっ、ごめん」 ――なんだこれ。俺、怒られてる。 「僕の名前はコハク」 「あっ、俺の名前は――」 「知ってるよ、聖(アキラ)でしょ」 反射的に俺は名乗ろうとしたが、それを遮られた。 「え?・・・・・・知ってるんだ?」 「やっぱり聞こえてなかったんだね、ちゃんと呼んでたのに」 ――呼んでた? 「もう、ちゃんと説明してあげるね」 そう言ってウサギ・・・・・・いや、コハクは姿勢を正した・・・・・・ように見えた。
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