なにか聞こえる

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「最初は一昨日の夜。仕事帰りに声をかけていたんだよ、必死に追いかけながら」 「え?・・・・・・一昨日の夜?・・・・・・あの、後をつけてたのがそうなの?」 「後をつけてたって人聞き悪いなぁ・・・・・・僕はちゃんと追いかけてたんだよ、名前も呼んであげてたのに」 「そうなの?」 「そうなの!それなのに走って行っちゃうから、諦めちゃったよ、疲れるし」 「そうなんだ・・・・・・」 ――そっか・・・・・・って、なんで追いかけられてたんだろ?・・・・・・今は聞けないけど。 「次の日の朝も呼んでたんだよ、庭から。いきなり家に上がったら驚くかなーって思って」 ――うん、いや、結局今日驚いてるけど 「でもなかなか反応がないから、疲れちゃってまた諦めちゃった」 ――いや、たぶんもうちょっと、もうちょっとだけ粘ってくれてたら顔合わせられたと思うんだけど・・・・・・なんか怖いから言えないけど 「で、今日に至る・・・・・・分かった?」 「・・・・・・はい」 俺は素直に頷いていた・・・・・・でもやっぱり分からないことはある。
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