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シートが音を鳴らすのは不思議なことじゃない。
風が吹けばそれは自然なことで――でも風は吹いていなかった。
頬を撫でるような微かな感じも、辺りの木を見渡しても、風の気配は一切なかった。
何だ……?
何故か妙に気になった。嫌な胸騒ぎみたいに、ドクドク鼓動が速まっている。
いや、気にするようなことじゃないか……。
ふぅと息を吐いて考えを払拭させる。
シートが音を立てることを、疑問に思う方がおかしいよな。
何をバカなことに引っ掛かっていたのだろう? 自分自身に苦笑して、今度こそ歩き出した。
『――――新っ!』
――まさかほのかが。霊体の彼女が俺に助けを求め、花束のシートを鳴らしたなど。誰が思うだろうか?
もちろん霊感のない俺は彼女の姿など見えず、その場を離れていった。
――恐怖に立ち竦むほのかの前に、青い炎が揺らめく。
かぱりと大きな口が開くと、ほのかの霊体を呑み込んだ。
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