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光を纏ったようなキラキラ輝く白い毛並み。
決して大きな体ではなく小柄な猫が、そこにいた。
……白猫?
この猫が俺を助けてくれたのか?
常識で考える限り猫が、怪物の蔦を切ったとは考えられない。
でも無事に地面にいることを思えば、それしか考えられなかった。
「そこの青年」
少し高い女の子の声。
怪物が喋るとも考えられず、ましてや猫とは思えず、周りをきょろきょろと見渡した。
「私の背後にいるお前だ」
もう一度聞こえれば、白猫がこちらをくるりと向く。
透き通るような青い瞳が、まっすぐに俺を捉えた。
「猫……が、喋って、る……?」
信じられず見開く目がゆらゆら揺れる。
「今はそんなことを言っている場合ではない。ロゼが悪魔化した。今すぐここから離れろ」
「ロゼ……? 悪魔化?」
意味が分からないことの連続で、思考が追い付かない。
「あいつに自我は殆どない。人間を喰らうことしか頭にないような奴だ。だから――」
白猫の言葉を遮るよう、女性が蔦を向けてきた。
くっ! と舌打ちのような声と共に、白猫が飛び上がる。
くるんと回転しムーンサルトをくらわせて、蔦を打ち負かす。
「ほら早くっ!」
白猫が叫ぶと、女性に飛び掛かった。
肩に傷が入り青い血が舞い上がると、女性は苦々しく表情を顰めた。
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