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「俺は……逃げない! あの怪物はほのかに似ているんだ!」
「ほのか……? 君の彼女か友人か?」
怪訝に眉を寄せると、白猫が俺の前に戻ってくる。
「ほのかは俺の彼女だ。ここで殺されて……彼女に会いに来た」
「なるほど……。じゃああいつは彼女の魂を喰ったんだ。だから彼女に似た悪魔になった。しかし残念だが諦めろ。喰われてしまったら魂は元に戻らない」
「悪魔とか、魂とかって……何なんだよ! あれは幽霊なのか? 怪物なのか!?」
理解の出来ないことは苛立ちとなり、大きな声を出してしまった。
「今は詳しく説明している暇はない! とにかく離れるんだ!」
ぐぐっと体を反らしていた女性が元に戻ったと同時に、2本の蔦を向ける。
躱すモーションを取っていた白猫の横を過ぎていき、ハッと青い目を見張った。
「狙いはあくまで青年か!」
蔦は俺の首を絞め、すぐに気道が塞がる。
白猫が鳩尾(みぞおち)にタックルを入れると、絞める力が一瞬弱まった。
その隙に蔦を払い、息を吸い込む。
「仕方ないな……。青年。協力してもらうぞ」
振り返った白猫は、咳き込む俺にそう言った。
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