白猫の女の子

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「――ねぇ、新(あらた)早く早く」  目の前でにこりと笑う女の子。  ふわりと黒い髪が弾み、大きな瞳が俺を捉える。  女の子――都積(つづみ)ほのかが、こっちこっちと手を招いていた。  ほのかは俺の彼女だ。  去年の秋、文化祭をきっかけにして付き合うようになった。  彼女は小柄で守ってあげたくなる見た目ではあるが、中身は芯を持った強い女の子。  自分をしっかり持っていて、それでいて周りの子達には凄く優しい。  そんな見た目とのギャップと、見た目通りの可愛い笑顔に惹かれて好きになった。  だから彼女と付き合えるようになった時は、夢じゃないか? と思うくらい嬉しかった。 「分かったよ。すぐに行くから」  ほのかの笑顔を見ながら、自然と自分の顔も微笑む。  彼女に追い付こうと歩き出すが、ふとした違和感に顔を顰めた。
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