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泣き叫んだ俺が落ち着きを取り戻した時。そこに白猫はいなかった。
俺を包んでいたのはしんとした静寂さ。さっきまでの出来事は夢か幻だったのか? とさえ思った。
見たことのない怪物もいなくて、あんなに怪我を負った箇所も、嘘みたいになくなっていて。
その上白猫もいなくなっていれば、そんな感覚にならない訳がなかった。
……でも。
ほのかに会った記憶だけは、痛いくらい鮮明に残っていた。
あれは幽霊で……。
彼女はもう、この世にいない――。
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