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ざわつきを収めることは出来ないと思っているのか。瀬戸は止めることなく、黒板に向いた。
女の子の名前を書こうとしていたのだろう。
カツッとチョークの音が鳴った時だった。
「あーっ!」
教室内に響き渡った高い声。
それにざわつきはピタリと収まる。
声を出したのは転校生の女の子。
キラキラ目を輝かせて、その視線の先に俺がいた。
…………ん? 俺を、見てる……?
女の子は知り合いでも何でもない。初めて会う子だ。
周平が「え? 俺?」と、そわそわした声を出す。
「見付けたにゃっ」
……にゃ?
呆気に取られている内に、女の子がこちらに駆け寄って来た。
瀬戸までが呆然としており、クラス全員の視線がこちらに集まる。
「君を捜していたんだにゃ」
女の子はそう言うと、俺の手を取り立たせる。
「……えっと。俺は君のこと知らないんだけど……?」
たじろぐ俺にはお構いなしに、女の子はにこっと笑った。
「君に会いたかったっ」
言うが早いか、女の子はぎゅぅっと抱き付いてきた。
その豊満な胸が……体に押し付けられる。
途端に収まっていたざわめきは大きくなり、周平がギャーッと悲鳴を上げた。
――これが彼女との "再会" で。
この再会が、俺の世界を変えることとなる。
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