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天色の瞳の転校生は、八城リリ(やしろ りり)と名乗った。
咲間と知り合いみたいだから、席は隣にしとくぞ。との瀬戸の一言により、彼女は左隣に座ることになった。
朝のHRが終わったと同時に、八城の周りには人だかりが出来る。
何処から来たの? ハーフなの? 是非友達になって! と、皆がそれぞれの質問や言葉を投げ掛けていたが、その中心にいる八城はぽやんとして受け答えをしていた。
彼女に訊きたいことはたくさんあった。
何故俺を捜していたのか?
八城とは今日初めて会うのに、捜されていた理由が分からない。
でもひとつ。気になることもあった。
それが青い瞳――。
昨日不思議な出来事があった、神社で出会った白猫。
あの白猫も同じような色をしていた。
……まさかな? だって八城は人間で、あれは猫だ。
色々と訊きたかったのだが、アイドルと化す輪の中に入ることはもちろん、背後の男にそれは阻止された。
「あーらーたぁぁ! どう言うことだっ! あれはどう言うことだ!?」
瀬戸が教室から出て行ったすぐ。背後霊のようにしがみ付いてきた周平。
首を掴みぐらぐら揺らす力には、ちょっとした殺意すら感じる。
「何あれ!? 何なのあれっ!? かなり美味しい思いをしたじゃん! ねぇ感触はどうだったぁぁ!」
最早泣きそうに言う彼は、隣に当の本人がいるのにも関わらず、大きな声で訊いてきた。
どうやら周平にとって俺と彼女の関係性より、感触の感想を訊きたいらしい。
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