白猫の女の子

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 確かに彼女に向かって歩いているのに、その距離が一向に縮まらない。  どうして? 疑問が浮かんで、周りの風景がおかしいことに、やっと気付いた。  ――――真っ白。空も地面も、何もかもが白。  そんな中にいるのは、俺とほのかだけ。  まるで白い空間にさ迷ったような不思議な光景に、不安と恐怖が駆け巡った。 「ほのか、待って!」  彼女をそこに留めようと叫んだが、にこにこと笑っている。  焦ったような声と、不安げな表情の俺を捉えているはずなのに、ほのかの笑顔は崩れない。  それどころかまだ「早く早く」と嬉しそうに言って、更に前に歩き出してしまった。 「ほのかっ!」  ダッと走り出す。早く彼女の手を捕まえて、ここから出なきゃ!  でも走っているのに、歩いているほのかに追い付かない。  彼女の背中が徐々に小さくなっていって、視界から消えそうになる。  ……何でほのかの所に行けないんだよっ!?  苛立ちに歯を噛み締め、全速力で走るが、ついにほのかの姿は消えてしまった。 「ほのかっ! ほのかー!!」  白い空間に虚しく響く彼女を叫ぶ声。 「ほのかぁぁぁ!!」  もう一度声の限り叫んだ時、バシンと鈍い痛みが走った。
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