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どよめきが男子達から上がり、女子達からはヒソヒソが上がる。
もちろん周平は今にも問い詰めたそうなのを我慢しており、啓介は顔を顰めていた。
そんな微妙な空気に気付いていないのか。八城は輪の中から出て、俺の前に立った。
「新、話があるのにゃ。行こう」
そう言って俺の手首を掴む。
無理やり立たせようとするのを、ちょっと待てと止めた。
「行くのにゃ~」
「行くってもう1時間目が始まる。次の授業の教師はめんどくさい奴だから、ちゃんと授業に出た方がいい」
そう言って説得すれば、話は分かったのだろう。
立たせようとした力は抜けるが、代わりに分かりやすく不貞腐れていた。
「むぅ~。授業なんてめんどくさいにゃ~」
ぷくぅと頬を膨らませ、諦めたように席に着く。
この場にいる全員が呆然としていれば、授業が始まるチャイムが鳴った。
皆、自分の席に戻っていく。
そんな中、啓介だけは八城を射抜くように見つめていた。
だが化学の木島がやって来ると、静かに席へと戻って行った。
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