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もぐもぐ口を動かしながら八城を見ると、おにぎりを見つめたまま固まっていた。
……まさか開け方が分からないとか……?
「もしかして、コンビニのおにぎり食べたことない?」
訊いてやれば、こくりと頷く。
今どきにしては珍しいな……。
そう思いながらも開けてやり、手の平の上に戻した。
「八城さんて帰国子女?」
「うん、まぁ……。そんな感じかにゃ」
周平の質問にそう答え、ありがとうとお礼を言うと、ぱくりとおにぎりを頬張った。
「帰国子女かぁ……。いいなぁ。向こうの女性とムフフ~なことしてみたいなぁ」
えへえへと妄想の世界にいき、アホ面で笑い出す周平。
「食事中に止めろ」
啓介が呆れて言った時。八城が大きな声を出した。
「にゃんだこれ!」
その大きな声に驚いてしまい、3人がそちらを見る。
「新っ! このおにぎり美味しいにゃ! 中には鮭が入ってるんだね。鮭は大好物なのにゃ~」
「……美味しかったみたいで。そりゃよかったよ」
最近のコンビニのご飯も、改良されて美味しくなってるみたいだし?
うんっ! 満面な笑顔で答え、幸せそうに食べる八城。
そんな彼女を見ていた周平がハッとなると、お弁当箱の蓋にウィンナーと白身魚のフライを乗せた。
それを八城の前に置く。
「よかったら食べなよ」
「……いいの?」
「もっちろん!」
「ありがとう」
ニコッと微笑まれ、何かに撃ち抜かれたようにくらりと倒れる周平。
お魚美味しいにゃ~と嬉しそうな八城と、 うへへへと遠くにいってしまった周平を見ながら、俺と啓介は苦笑するしかなかった。
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