ロゼと武器化

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「ほら帰るぞ。起きろ新」  子泣き爺と化す周平。机に顔が密着し、息苦しくなってきた。 「周平……。下りてくれ」 「帰ると言ってくれたらな」  何処か意地悪く笑う周平を引き剥がしてくれたのは、やはり啓介だった。 「周平。今日は何とかちゃんのグラビア集の発売日だろ?」  その言葉は効果覿面(てきめん)だ。  ガバッと上体を跳ね起こすと、あわあわと慌てた表情になる。 「うおっ!? 今日は16日か! こうしちゃおれん! 売り切れになる前に俺は行くぞっ!」  机の上の鞄をひったくると同時に、教室から飛び出して行く周平。 「本屋で待ってるから、来てくれよぉぉ」  その声はもう遠くにあり、嵐のように走り去って行った。 「16日は来週なのにな……。チョロイ」  ふっと笑う啓介。グリップを押し上げる彼の眼鏡が、キランと光ったのが見えた。 「助かったよ」  顔を上げた俺はお礼を言って、首を鳴らす。 「どうせ周平は頭になかっただろうが、これから八城の話を聞くんだろ?」  朝のやり取りをしっかり覚えていた啓介は、確かめるように訊いてきた。  それにあぁと答えれば、じゃあ明日こそは周平と帰ってやってくれよと言葉が返ってきた。 「……新。八城には気を付けろよ」 「え……?」  すぐに聞き返したが、啓介は明日なと教室から出て行く。  何のことだったのだろう? と疑問に思ったが、とりあえず八城が解放される時を待つことにした。
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