白猫の女の子

5/26
前へ
/204ページ
次へ
「じゃあ終わるぞ」  化学の教師である木島は書いていた手を止め、さっと授業を終わらせる。  そのまま教科書などを持って、教室から出て行った。  それと同時に訪れたのは昼休み。  瞬時に教室内は騒がしくなった。 「いやぁそれにしても、よく寝てましたなぁ」  ぱっちり二重の大きな目を細めては、からから笑う周平。 「いつから寝てた? 俺」  自分の椅子を後ろに向けて訊ねる。  昨日はいつも通りの時間に寝たし、授業中に眠たいと思った記憶はない。  それなのにいつの間にか寝ていて、夢まで見てしまっていた。 「授業の中盤当たりぐらいには、俯いていたよ」  周平とは違う、クールを兼ね備えた低い声。  そちらを向けば眼鏡を掛けた男がやって来た。 「確かに、半分くらいから肘付いていたかな?」  視線を斜めに上げ、周平が思い出しながら言う。  眼鏡を掛けた男は周平の隣の椅子を引っ張って来て、そこに座った。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加