白猫の女の子

7/26
前へ
/204ページ
次へ
 性格が真逆なふたりではあるが、俺達は気が合う。  周平には明るい気持ちをもらい、啓介のことを頼りにしている。  俺の大事なふたりだ。 「そっか。実はいつから寝たのか覚えていなくてさ」  はははと苦笑すれば、周平がまたにやぁと笑う。 「だから新もシたんだろ?」 「悪いけど、それはない」  真顔でぴしゃりと否定してやれば、ぶぅと口を尖らせた。  持ってきたお弁当箱を広げ、ぱくりと唐揚げを口に入れる啓介。  鞄の中からパンを取り出し袋を開けて、周平が不思議そうに口を開いた。 「新、お昼食べねーの?」  その声にハッとなる。 「あぁ、そうだ。今日はお昼買わないとないんだ。売店に行ってくるよ」  財布を手にして、慌てて席を立つ。  じゃあなと教室から出て行った俺の姿を見送った後、啓介がまたべしっと頭を叩いた。 「何だよさっきからべしべしと!」  痛いだろ! と頭を抑えながらジト目を向ける周平。 「気付けよ。今日は新にとって、”大事な日” だ」  啓介がそう言えば、周平はバツ悪そうに困った顔をした。
/204ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加