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「――話は以上だ」
担任の瀬戸(せと)がHRを締めると、今日の授業は終了となった。
途端教室内はがやがやと賑わい出し、昼休みとは違った盛り上がりとなる。
1部の教科書と筆箱を鞄の中に入れていると、ふたりの女の子が近付いて来た。
「咲間君、バイバイ」
「あぁ、また明日」
ショートボブの新垣(にいがき)と、右に髪の毛を纏めた川村(かわむら)に挨拶をすれば、ふたりは嬉しそうに目を細めて教室から出て行く。
そんな様子を後ろでじーっと見ていた周平。
にやにやと笑いながら口を開いた。
「ゆるーいパーマの掛かった黒い髪は、イケメンさを醸し出し? 長い前髪に切れ長の瞳が合わさって、イケメン度割増の咲間新くぅーん」
「……何だよ、それ?」
何で俺の説明? と訝しい目を向ければ、何故かガバッと抱き付かれた。
「女子から声を掛けてもらえるとか、何て羨ましいっ!」
訴え掛ける彼は、心の奥底からの羨望を言っている。
そのことが分かった俺は、何とも勿体ない男だよなぁと思った。
愛らしい顔立ちをしている周平。
パッと目を引き本当ならモテるはずなのだが、それを台無しにしているのがエロ要素。
知っているクラスの女の子達は、周平から遠ざかる。
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