不穏な視線

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 この三毛猫はここに住み着く野良猫。  もちろんいない時もあるが、大抵は呼べば来る。  人見知りをしない子なので、マスコットキャラのような存在であり、学校側も被害はないからと放置している状況だった。  余り野良猫に餌をやってはいけないと聞くが、せっかく柚が買ったキャットフードを、そのまま捨てるのは気が引けた。  周りに猫を飼っている奴がいれば、そいつに渡すのだが……。  今の段階では知らなかった。  すぐに全部を平らげてしまった猫は、まだないの? と言わんばかりに俺を見つめる。 「今日はお終い。たくさん食べたら太っちまうぞ」  微笑しながら頭を撫で、立ち上がる。 「また明日な」  そう言って教室に戻ることにした。
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