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「ありがとうございましたにゃ~」
「リリちゃんまた来るね」
でれでれとした笑みを貼り付けて、手を振る眼鏡を掛けた男。
八城もレジで両手を振ると、男は店を出て行った。
「あ、リリちゃ~ん」
店の扉がメロディと共に開き、入って来たのはガテン系のふたりの男。
如何にも土木の仕事をしているであろう髪色の明るいふたりが、レジを挟んで八城の前に立つ。
「あ、今日も来てくれたのにゃ」
「そうそう、リリちゃんに会いに来たんだよー」
「嬉しいにゃ。じゃあお席にどうぞ」
「リリちゃんがお冷持って来てねー」
そう会話をして、3人が歩き出す。
多少のドジはあるものの、バイトにも慣れた八城。
これで4日目のだから、覚えるのが本当に早い。
バイトの仕事的には問題はないのだが、日に日に彼女目当てに店にやって来る者が増え始めた。
その見た目も様々で、オタク系に始まり真面目そうなサラリーマン。更にはヤンチャそうな男――。
八城本人は気にしている様子はなく、楽しそうではあるが、どうにもメイド喫茶的な感じが否めない。
……まぁ制服のせいもあるだろうけど。
今のところは何もないし、まぁいいかと、お冷を運んで行く八城を横目で見た。
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