山吹色の瞳を持つフィアンセ

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 ◇ ◇ 「あ~今日も楽しかったにゃ」  バイトも終わった帰り道、八城は大きく伸びをした。  あの後キッチンに避難させ、終わるまで洗い物をしてもらっていた。  当の本人はやはりあの男達に対して何も思っていないようで、いつも話をしてくれるから嬉しいにゃと喜んでいる。  ……八城にはどうにも、自分が男達を惹き付けていると言う自覚はないよう。  いつもシフトが一緒な訳じゃないから、助けてやることは出来ない。  森口に頼むか?  いや彼女も女の子だから危険だし、店長に見てもらうのが一番いいだろう。  そんなことを考えながら家路を歩く。 「新、そう言えば今日の賄(まかな)いとってもおいしかったのにゃ。でもあれ、メニューになかったけど?」  不思議そうに訊ねてくる八城に、あぁと答える。 「今日、八城に出してくれた賄いは、誠司(せいじ)さんのオリジナルだよ」  夕飯も兼ねた彼女の賄いに出された物は、白身魚のフライのトマトソース掛け。それに店の人気メニューのバターカレーのドリアだった。  白身魚のフライはあるが、ハンバーガーの具材として使われている。  またバターカレーもそのまま出されるもので、ドリアとしてはメニューになかった。  それらをアレンジにアレンジを加えた賄い。  誠司さんは俺の2こ上の先輩で、キッチン専門のアルバイトとして働いている。  たまに俺達にもアレンジを入れた賄いを作ってくれることもあるが、それは店が暇な時の限定。  今日はバタバタと忙しかったのに、八城にアレンジメニューを出したと言うことは……。  誠司さんも、八城に気があると言うことだ。
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