01. 科学調味料

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01. 科学調味料

「科学調味料が完成した」 「科学? 博士、化学の変換ミスですか?」 「違う、化学では無い。科学だ、科学」 「博士、問題が二つあります」 「なんだね、言ってみたまえ」 「一つはアニメ化した場合、視聴者が困惑します」 「その時はテロップで対応する」 「了解です」 「二つ目はなんだね?」 「テーマが地味です」 「大丈夫だ、落ちが斬新だ」 「あまりハードルを上げるべきではないと思いますが」 「博士、科学調味料と従来の調味料との違いを教えて下さい」 「従来の調味料は舌の味蕾に作用する。科学調味料は脳に直接作用するのだ」 「もっと具体的に教えて下さい」  博士は机の上にある発明品を指さした。金属の箱に複数のスイッチとダイヤルがついている。 「このダイヤルで味覚が調整できる。例えば、塩味ダイヤルを右に回せば脳が感じる塩味が増幅し、左に回せば減衰する。つまり塩分を減らしても脳が感じる塩味は同じに出来るということだ。ダイエット中にどうしても甘いものを食べたい時にも有効だろう」 「凄いけどわりと地味です」 「今から、テストを行う。実験用の味噌汁を作ってくれたまえ」 「はい、博士」 十分後。 「博士、味噌汁が出来ました」     
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