01. 科学調味料

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「有難う、まずは一口頂こう。うん、美味い。君は良い奥さんになれるね」 「それはプロポーズと受け取って宜しいのでしょうか?」 「いや、違うよ」 「プロポーズでない? それではセクハラですね、訴えます」 「なぜ今のがセクハラなのかね?」 「被害者がセクハラと感じる行為は全てセクハラです。判例もあります」 「判った。確認だが先程の私の発言がプロポーズの場合はセクハラではない、したがって君は私を訴えない、という理解で良いかね?」 「はい、博士」 「好きだ、愛している、結婚してくれ」 「お気持ちは大変嬉しく思いますが、結婚は出来ません」 「実験を再開しよう」 「はい、博士」 「この味噌汁の塩加減は私の好みに対して辛からず、甘からず、ベストの状態にある」  博士は塩味ダイヤルを右に回した。 「この状態で飲む、……、辛い、塩辛い」  博士は塩味ダイヤルを中央位置に戻してから左に回した。 「この状態で飲む、……、味が薄い、物足りない、よし、実験は大成功だ」 「スゴジミな発明の大成功、おめでとうございます」 「スゴジミとは、凄いけど、わりと地味の略かね?」 「はい、博士、概ね正解です」 「博士、質問があります。全てのダイヤルを右に振り切った科学調味料の影響範囲で食事を取った場合はどうなるのでしょうか?」     
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