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足場の悪い森の中。月がぼんやり出ているのを横目で見ながら暗闇の中を必死に走る。 少しでも物音がすると心臓が跳ね上がる。後ろから来ているであろう追っ手を振り返りながら確認する。 もう少し。 もう少し。 そう自分に言い聞かせてこの国を囲っていると言われる「壁」を目指す。 あるかどうかも確かではないが、今の自分にはそこを目指す以外生き延びる手立てがない。
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