序章

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当時、Yがそんな妬みを持っているとは思わず放置していた。 いい加減な性格なのは解っていたから。 スタッフしていたメンバーから後々、苦情が出る。 「あいつ、ベース上手くないのに知った被りが凄い不愉快」 「口だけの奴になんで俺等があそこまで言われなきゃいけないんだ」 彼等からしたらそう思っても仕方がない。 仕事はせずにリハ中でも会場内外関係無しに好き勝手遊んで、それで偉そうに指図されるんやから。 何よりYは優位に立ちたかったらしく、スタッフしていたバンドのメンバーを顎で使っていた。 ただ『歳が上だから』という理由で。 この時期と同じ頃、地元バンドを統括するRと知り合う。 ここからどんどんYは狂った方に加速していく。 俺は俺でバンドを支え、バンドはバンドでライブをしていった。 YはYなりに考えたのか、このバンドの知り合いだけで良い思いが出来ないと判断し、メン募の欄を見て連絡しては仲良くなり知り合いを増やしていった。 そんな中で、地元でかなりの人気があったバンドのメンバーと知り合う。 Yは言った。 「こんな大手の人達と知り合えたのは私のお陰なんだから感謝してよね!!」 その時の俺はYに『普通の格好じゃ私が恥かくでしょ!!あの格好してきなさいよね!』と、プラトゥリの竜太郎の格好をさせられていた。 それもあって、そのバンドのVOに竜太郎とあだ名を付けられ今後もそう呼ばれる。 その人気があったバンドはファンに惜しまれながらも解散しており、新しくメンバーを募る為に募集を出していた。 そこにYが食い付いたのだ。 大手のメンバーと知り合いになれたのか、統括しているRにも偉そうな態度でシャシャる。 虎の威を借る狐だ。 下のバンドマン達にもYに対して不満が増えていった。 俺は差し障りなく、皆と仲良くしてスタッフの仕事もこなして地元バンド達とも顔馴染みになっていく。 統括しているRにも徐々にだが信頼を得て、俺は確固たる地位を築いていった。 やはり、Yはそれが気に食わない。 何かと横槍を入れてきて、自分のが優位なんだと見せ付けてくる。 しかしそれは彼女が凄いのではなく、彼女の知り合いが凄いのであって、俺はYを凄いとも思わなかった。 だから、適当にあしらっていた。 そんな中、あるバンドのサポートをするから衣装を作って欲しいと言われた。 被服デザイン科を出ているから、俺に作らせようと思ったらしい。
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