序章

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衣装をオーダーで依頼しようとしたらしいが、値段が破格な為諦めたんだと。 そこに俺が服作れる事を思い出し、頼ってきた。 俺への依頼は、 【mana様が着ているような豪華なドレス衣装】 デザイン画を何枚か製作し、その中の一つに決まる。 体の至る所をメジャーで計り、そしてデザイン画から材料数と材料費を割り出す。 製作費も込みで、俺が提示したのは7万。 Yはそれで良いと了解し、俺は衣装を仕上げ納品した。 しかし、Yはいくら経っても衣装代金を支払わない。 そんな日々が続いていた。 ある日Yは「地元ではBIGになれないから、東京に行く」と言い出した。 俺は引き止める事はしなかった。 いや、したくなかった。 最初は知らなかったとはいえ、今じゃYの事を知り、どんだけ痛いかが解ったからだ。 散々影で俺の悪口を言い振らし、友達の前で恥をかかされ、違う場所では散々馬鹿にされた事もある。 自分勝手で俺様、お多福のような顔なのに究極のナルシスト。 自分が言った事は絶対、従わない者はカス扱い。 反抗する者は知り合いを使って潰してやると力を誇示し、汚い事は他人にやらせる。 そしてDirの広島ライブだって連れてって欲しい言うから連れてったのに、感謝の言葉すらもなく連れてくのは当たり前な感じで悪態を付いていた。 人に因って態度は変わるし、知り合いの皆全員の悪口を言っていた。 流石に縁を切りたくもなる。 そんな中、いきなり独り暮らししていた俺の家へ転がり込み東京行くまで泊めろと言い出した。 俺は断った。 なんでそんな目に遭わされた俺が泊めなきゃならない? それに俺の事嫌いな癖に泊めろとか何だその神経? 明らかに俺の事をパシリか下僕として扱かっていた。 断ったにも関わらず、ズカズカと部屋に入り俺の生活空間の評価に入る。 「なんだ、結構綺麗にしてるじゃない。綺麗な所で良かった」 ……………はぁ? 普通なら綺麗にするだろ。 「ちょっと、私客人よ?茶の一つ位出しなさいよ」 …………そんな態度デカい客人なんていない。 それに招いていない。 ムカついたので自分の飲み物だけを出して、 「そこにコップとインスタントあるから自分で作れば」 と言った。 しかし、Yは動こうとはしない。
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