序章

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体力も尽きて、部屋に戻ってぐったりしていたらYが大荷物を持って戻ってきた。 それに俺は唖然とする。 堪忍袋の緒が切れそうだ。 まず冷静にYに問う。 「今日なんの日か解ってるんよな?」 「は?…ああ、衣装代でしょ?」 「そう、それと家賃振り込み期限日やってん。俺、前々から言うとったよな?」 「知ってるよ?」 「知ってるならなんで連絡せんかったん?連絡してもずっと繋がらんかったんやけど」 「友達と遊んでたからに決まってんじゃん」 「は?」 「んでさ、遊んで買い物してたんだけどこれ可愛いでしょ?これ4万もしたんだから、 4 万 も 。だから衣装代払えない」 ――ブチッ 何かが切れた。 俺が今まで我慢してた事も知らず、良くそんな軽々しく言える。 お前のせいで、ストレスやその他諸々で死相まで出たんに……なんでこんな奴の為に俺が我慢して死ななきゃならんのだと腹が立って仕方なかった。 それと同時に怒りと苛立ちが極限にきてしまい、呆れてしまった。 諦めに近い、そんな気分。 その時に殺意と憎しみよりもこんなに人を嫌えるという事を知った。 俺が落胆して、Yに言った。 Yの居心地が悪くなったのか、魂ここに在らずになった俺に恐怖を覚えたのか2万だけ支払い、 「私はライブに呼ばれてて出て行くから。残念だけど呼ばれたのは私だけだからアンタは留守番ね。帰宅は朝方だからちゃんと鍵開けなさいよ」 そう言って再び遊びに出て行った。 遊ぶ金があるなら、残りの5万支払ってくれと。 そう言う気力もなく、Yが投げた2万が床に転がっていた。 朝方に一度帰宅したYは化粧を直し、荷物を持って四国へと遊びに行った。 デュールクォーツの握手会で知り合ったバンマンと四国で遊ぶんだと。 それから東京に行くらしい。 5万支払えるやんか… 俺に払う金は無いって? ふざけた話…… 使い捨てとはよう出来た言葉。 それから精神的に弱った俺はずっと長い事眠っていた。 気が付いたのは2日後。 その間、食事も水分も取らず眠っていたのに腹は空かず恵んで貰ったパンは賞味期限が過ぎていた。 回りを見るとYが荒らしてった部屋は汚れていて…不愉快だからYが居た痕跡を全て除去した。 それで終わると、俺は思っていた。
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