第3章 謎に近づくとき

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そんな、悲しげな声でずっとそばにいてなんて言われたら… どんな思いでイケメンがそんなことを言ったかなんて分からない… でもいつもの冗談なんかじゃなくて本気で言っている気持ちだと自分は確信があった。 とっさに切ない思いが込み上げ、頭を撫でる手を握り、ゆっくり目を開けた。 イケメンと目が合い、驚くイケメンの表情も何もかも全てを包み込みたくなって 気づいたら抱きしめていた… 「あやね…」 イケメンはいきなりの出来事で最初は私の抱きしめる手の感覚だけが2人を繋いでいたが、すぐにギュッとイケメンからも抱き返してくれる感覚に心地よさを感じていた。 しばらく抱き合って見つめ合うと、イケメンの目から頬まで一筋涙が流れた。 「…どうして泣くの?」 そう言うとイケメンは涙を拭いて、また私を抱きしめた。 「ごめん…ほんとにごめん。」 そして私に謝り続けた。 どうしたらいいのか考えたが、今は抱きしめるしかできない自分がいる。 聞いちゃいけない気がして… それでも姉には申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 今日だけ。 今日だけにするから許して。 真面目なんて嘘… 私は自分の気持ちを抑えられずに義兄と妹という安定の関係を自分から壊してしまったのだから。
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