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「真ちゃんのことが嫌いになったわけじゃない。だけど、ごめんなさい……」
真ちゃんのことをすごく愛していたわけではなかった。だけど、真ちゃんの前では、ありのままの自分でいられた。心が安らぐ存在だった。
側にいるのが当たり前で、真ちゃんと別れる日が来るなんて思いもしなかった。
寂寥感を抱えながら、玄関のドアに手をかけ、真ちゃんに別れを告げる。
「杏奈……ずっと待ってるから」
扉が閉まる直前、真ちゃんの呟いた言葉が、小さな棘となって胸に突き刺さる。
真ちゃん、大好きだった真ちゃん。先輩と再会しなかったら、今も二人、笑い合っていたのだろう。
ごめんなさい、真ちゃん……。
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