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「杏ちゃん、聞いてる?」 少し苛立ちを交えた先輩の声に、慌てて顔を上げる。 真ちゃんと別れて数週間後、先輩から告白を受けた。初恋が実り、嬉しさを感じる反面、真ちゃんへの罪悪感から返事を保留にしている。 「ちゃんと寝てるのかよ。 綺麗な肌が台無しじゃん」 先輩は何の躊躇いもなく言葉にする。口下手な真ちゃんとは大違いだ。 「携帯弄ってて眠れなくて……」 嘘がすらすらと口をついて出た。目の下のクマは、真ちゃんのことを思い出して眠れない夜があったから。 どちらともつかずな心が嫌になる。真ちゃんと先輩への気持ちが半分ずつ。いっそ、身体も半分に分かれてしまえばいいのに。
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