Love Story.

恋

「森ノ宮さんと付き合ってるって噂、ほんと？ 事務の子から一緒に食事してるのを見たって聞いたけど」

外回りを終えて会社に戻ると、外交員の先輩が私を取り囲む。

「どうしてこの子なの？」「大して可愛くないくせに」先輩達の目が、そう訴えているように感じる。

先輩には、何度か飲みに連れて行ってもらっている。あの告白はなかったかのように、いつもと変わらず接してくれる先輩に、より一層好意が芽生えていた。

「黙ってないでなんか言いなよ」
「仕事はできないくせに手は早いのね。デートしてる暇があったら、まず成績を取ったら？」

俯いたまま何も言い返さない私に、先輩達が辛辣な言葉を投げかける。