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「俺のせいだよな」
二人取り残された休憩室で、先輩がぽつりと呟いた。先程の冷たい表情の先輩とは別人のよう。
しょんぼりと頭を項垂れて、私の顔を覗き込むように上目遣いで見上げる先輩。
「来てくれて嬉しかったです」
先輩を慰めようと口を開いた途端、先輩が手を伸ばし、腕の中にぎゅっと抱き締められた。
「杏ちゃん、俺と付き合ってよ」
薄いワイシャツ越しに、ドクン、ドクンと心臓の鼓動が聞こえる。
「……お願いします」
真ちゃんへの罪悪感。それをはるかに勝る先輩への恋心が、二人の中途半端な気持ちに答えを出した。
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