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兄の帰省
5つ年上の兄の話である。
彼が高校を卒業後、勉学の為に東京で一人暮らしを始めると実家の兄の部屋はなくなった。
建設業を営む我が家で事務所から一番近い位置にあった兄の部屋は、母親の事務所となっていた。
だから帰省した時は別室で眠ることになったのだが、その部屋は玄関の正面にある和室。
この和室、私達兄弟のウケがすこぶる悪かった。
今思えば客間だったのだろう。
当時は子供達が自由に使える部屋だと思っていた。
“ 何となく、こわい ”
それが子供達の共通の意見だった。
部屋の両側の壁はタンスと本棚が置かれ、中央には大きな机が一卓。
昔だったから、ブラウン菅のテレビが一台。
玄関に出る廊下側には襖で仕切られていて、裏庭に出る大きな扉窓は障子がはめ込まれていた。
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