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兄が一人暮らしを始める前。
自分が小学生の頃だった。
夏休みになると昼に『あなたの知らない世界』というテレビ番組が放送されていた。
今で言う『本当にあった怖い話』のような番組なのだが、この番組を見たい自分は、件の部屋で襖を閉めてこっそり見ていた。( 何故なら母親がこの番組を見る事をひどく嫌っていたからだ )
番組が始まり、真夏だからクーラーをガンガンにかけてブランケットに包まりながら、当時飼っていた中型犬を抱きしめて番組を見た。
再現VTRはわざと映像を古びた感じに作ってあった。
何作か見た後だったと思う。
カタ……カタカタ、カタカタガタガタガタガタガタガタガタガタ!!
音がしたと思ったら、玄関に面した廊下の二枚の襖が、外れるのではないかと思うほど激しく上下にガタガタと大きな音を立てて揺れはじめた。
とっさに思ったことは、「地震!?」という事。
しかし、家屋自体は全く揺れてはいない。
だいぶ長くガタガタと揺れていたので外側で誰かが悪戯しているのか、と揺れが収まってから外を見た。
しかし、誰もいない。
この日は兄も姉も不在だった。
母親も事務所にいた。
従業員は家の中までは入ってこない。
不気味なまでに静まりかえった中、効きすぎたクーラーの冷気と廊下の生温い空気が混ざって、額の汗をなでた。
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