差出人不明の手紙

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

差出人不明の手紙

 部屋の掃除をしている時、たまーにだけどさ、すっげー懐かしいもを見つけたりする時ってあるよな。 俺さ、今日それを見つけたんだ。 何を見つけたかというと、1冊のアルバム。 部屋の押入れの奥の奥に保管されていたんだ。 そのアルバム、もう10年以上も前のアルバムなんだけれどさ。 なんつーか、中身は幸せそのものが詰まってた。ぶっちゃけ、今の俺には眩し過ぎるくらいに。 今から10年前、俺には1人の妹がいた。 名前は長谷川七海という女の子だ。 妹といっても、血は繋がっていなかったんだけれども。それでも、……本当に大切な妹だった。 ある事がきっかけで、今ではもう一緒には暮らしていないんだけれど。 俺の妹、七海ちゃんには友達がいたんだ。 その友達の名前は、小川桃巳ちゃんと涼風遥香ちゃん。 この子達も七海ちゃんと同様、ある事がきっかけでもう会えなくなってしまっている。 ……あの頃に戻れるのなら、そう思い始めて早10年。 気が付けば俺は27歳になっていた。 時が経つのは早い、そう考えてしまう年齢になっていたんだな、俺。 「直人ー、あんた宛てに封筒が届いているわよー」 アルバムを見つけて物思いにふけっている最中、部屋の外から声が聞こえてきた。 「あいよー」 やる気のなさそうな返事をし、俺は部屋の扉を開けた。 「おう、サンキューな」 声の正体は俺の母さんだった。 俺は軽く礼を言ってその封筒を受け取った。 「差出人の名前が書いてないけど、なんだろ、これ?」 俺と母さんは二人でその封筒を見つめた。 「中身、見てみるよ」 そう言って俺は封筒を開封した。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!