0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
差出人不明の手紙
部屋の掃除をしている時、たまーにだけどさ、すっげー懐かしいもを見つけたりする時ってあるよな。
俺さ、今日それを見つけたんだ。
何を見つけたかというと、1冊のアルバム。
部屋の押入れの奥の奥に保管されていたんだ。
そのアルバム、もう10年以上も前のアルバムなんだけれどさ。
なんつーか、中身は幸せそのものが詰まってた。ぶっちゃけ、今の俺には眩し過ぎるくらいに。
今から10年前、俺には1人の妹がいた。
名前は長谷川七海という女の子だ。
妹といっても、血は繋がっていなかったんだけれども。それでも、……本当に大切な妹だった。
ある事がきっかけで、今ではもう一緒には暮らしていないんだけれど。
俺の妹、七海ちゃんには友達がいたんだ。
その友達の名前は、小川桃巳ちゃんと涼風遥香ちゃん。
この子達も七海ちゃんと同様、ある事がきっかけでもう会えなくなってしまっている。
……あの頃に戻れるのなら、そう思い始めて早10年。
気が付けば俺は27歳になっていた。
時が経つのは早い、そう考えてしまう年齢になっていたんだな、俺。
「直人ー、あんた宛てに封筒が届いているわよー」
アルバムを見つけて物思いにふけっている最中、部屋の外から声が聞こえてきた。
「あいよー」
やる気のなさそうな返事をし、俺は部屋の扉を開けた。
「おう、サンキューな」
声の正体は俺の母さんだった。
俺は軽く礼を言ってその封筒を受け取った。
「差出人の名前が書いてないけど、なんだろ、これ?」
俺と母さんは二人でその封筒を見つめた。
「中身、見てみるよ」
そう言って俺は封筒を開封した。
最初のコメントを投稿しよう!