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差出人不明の手紙
「中身は、……手紙っぽいな」
封筒の中身には一通の手紙が入っていた。
「ほほう、手紙かー。あんた宛のラブレターだったらどーすんのよ?」
冗談交じりで母さんが俺にそう言う。
「はは、……ラブレターねぇ。とりあえず手紙読んでみるよ」
ちなみにラブレターなんてものは貰った事がない。あんなもの、ただの幻想だろクソ。
捻くれた考えを持ちつつ、俺は丁寧に折り畳まれた手紙を広げる。
「えーっと、なになに。あなたは今、過去に戻ってやりたいことはありますか?あるのであれば、明日の23時30分に下記の場所までお越しください。……なんだこれ?」
「手紙の内容がまるで厨二ね」
真顔でそう言い放つ母さん。
「厨二とか変な突っ込みしてる場合かよ母さん」
「ねえ直人、この手紙に記されている場所って」
「あー、近所の墓地だな。誰かは知らんが、肝試しでもやりたくて俺を誘ってきたんじゃないのか?」
「うーん、でもあそこ、結構有名らしいわよ」
少しばかり表情を曇らせる母さん。
「知ってるよ、出るんだってな」
「もう、怖いこと言うのやめてよ。というか直人、行ったりするわけ、……ないよね?」
「行くわけないでしょ。顔も名前も知らない奴の誘いに何で俺が乗らなきゃいけないのって感じ」
呆れた感じで俺は母さんにそう言った。
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