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「遅くなったね…って、なんか暗いね、みんな。」
痛い沈黙が流れるその場に入ってきたのは腰に銃を下げた青年、おそらく世が世ならさぞモテるだろう美男子と言って言い容姿の持ち主。
その肩書は『平和主義同盟』のリーダー。
夜霧の登場だ。
「夜霧君か、昨日はありがとう。」
眼帯を付け直しながら、有栖は夜霧に礼を言う。
服や彼女を匿う場所の手配をしたのは彼だ、今のはその礼である。
つまり、すでに夜霧と有栖は面識があるのだ。
「リーダー、蘭と八雲は?あと買い物から橙空がまだ帰って来てない。」
「あー、二人は今は合流しないよ。まぁ、彼らの行動は把握するのも結構難しいから。」
ふぁぶれの問いに夜霧は頭をかきながら答える。
やはり八雲は来ないようだ。
そのパートナーと言えるような存在の蘭らりあも。
「でも、時間も無いし、話を始めるよ。橙空くんにはエネくんが説明して?」
「オッケー、どうせこの後連れてかれるだろうし。」
「うん、ありがと…さて、どこから説明しようか。」
夜霧は少し言葉に詰まった。
しかしそれは、何かを知っているから故にである。
だからこそ、どこから説明したものか、と思ったのだ。
「――『AR-01アリス』。世界が崩壊する前に、極秘裏に進められていたプロジェクト。サイボーグ技術の開発とそれによる強化サイボーグ兵士の創造。その試作機、それが彼女なんだ。」
「やっぱり、知っていたんだね。」
夜霧は有栖を何らかのコードネームで呼ばわった。
つまり、彼は『知っている』。
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