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結果として、少女は誰にも会うことなく学校までやってきた。
私立校らしい新しく綺麗な門をくぐって校内へと入っていく。
いつも門のところに立っている生活指導の先生も、騒がしい生徒たちも今日は居なかった。
いよいよ少女は不思議に思い始めた。
こんなことって、あるんだろうか。
少女の家は生活が苦しく、学校の手伝いで生活費を賄っていた。
今朝も校内の掃除を始業前にやるために早く家を出てきた。
ほとんど毎日通っている用務員室の扉をノックする。
返事が無かった。
用務員はいつも学校にいるはずなのに。
少女は声をかけるのをあきらめて、掃除用具を手にひとり校内の掃除をはじめた。
今日はグラウンドの端を掃除する。
落ち葉をほうきで掃きながら、誰一人いないグラウンドを眺めた。
この時期は部活動の生徒が必ずいるはずなのに。
掃除を終えてしまうと、少女はまた用務員室に戻り再び扉をノックした。
やはり返事なない。
始業の時間も迫っていたため、少女は急いで教室へ向かった。
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