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上野「は、はあ?何言ってんの、この人?」
老人「期限は一週間、いろんな偶然に気をつけなさい・・・」
老人はそう、言い残し、静かに去って行った。
中田「なんか、大変なことになったなあ」
上野「何、ひとごと言ってんだよ!こんな物、すぐに捨ててやる」
老人「一つ、言い忘れた!」
老人は扉の前で大きく声を上げた。
二人は方をすくめて振り返った。
老人「この装置を捨てると、上野君の身に不幸が降りかかるよ」
上野「不幸って、何が起こるの?」
老人「さあ、あらゆる可能性を、考えてみたらいかがかな?」
老人は、扉の向こうへと消えて行った。
上野「ふざけんなよ、何なんだよ、これ」
中田「でもさあ、あの老人が言ってたことが本当なら、どういう仕組みなんだ、これ・・・」
中田が装置を手に取ると、不意に、装置からピーッと電子音が鳴り、続いて時計の秒針のような電子音が始まった。
上野「あ!始まった!」
中田は思わず装置を上野に渡した。
上野「ええー」
中田「頑張れよ、上野君」
かくして上野は、この装置を一週間持ち、確率と戦うことになった。
翌日、上野は研究室に向かう途中、満員電車の中にいた。あれから家に帰ったが、今のところ装置に反応が無い。
上野は段々と疑い始めた。
まさか、あの老人のでまかせなのか、それとも、僕の性格に業を煮やした中田君か英美がだましたのか・・・
その時、電車が大きく揺れて、上野の隣に立っていたOL女性の顔が上野の頬にぶつかってしまった。
OLのリップが、上野の頬にくっきりとついている。
「あ・・・すみません」
上野「い、いえ、いいんですよ・・・」
上野はニヤニヤしながら体制を立て直す。
もうけちゃったなあ
しかも可愛かったし
ピピッ
誰だっけ、アイドルの、あの、
ブーン、ブーン
そうそう、ブーンっていう名前だった・・・ブーン?
上野が音の元を辿っていく、見ると、カバンに入っている、あの装置であった。
上野「え?まさか・・・」
数値は
10000000
から
8856000
に減っていた。
・・・減ってる、でも、なんで?
上野は冷静に分析した。
今、この車両に乗っているのが、多くても150人だとして・・・
1/150
じゃ、ないのか?
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